デイトレードを含む短期売買の「株式市場の中での役割」というのは、以下。
みんなが長期投資家だと株式市場は閑散とする。閑散とすると、株を換金しずらくなる→株は危険→株に投資するのはやめよう→企業が資金を調達しにくくなる。ということで、短期売買も含めいろんな人がいて取引してるから、株式市場というのが機能するのです。
株式市場というか自由主義経済のメリットというのは、リソースの自動配分機能。
たとえば、幼稚園で、シンデレラの演劇をするとしましょう。このとき「先生が決める」より「ガキどもに決めさせる」方がうまくいくという仕組み。本当は「みんながシンデレラ」がやりたいのだけど、そこは競争で1人しかなれません。ほんでもって、自分の力量と人気度などを考慮して、魔女やかぼちゃや後ろの木などの役にそれぞれ、決まっていき、まぁ「全体として」よい劇になるという仕組み。これは「全体として」うまい具合にいくというだけで、もちろん「後ろの木」にしかなれなかった人は不満です。しかし「がんばってかぼちゃの馬車を目指す自由」はあるわけで。とにかく、自由主義経済が完全無欠の仕組みというわけではないが、今はそれがベターな仕組みだと言われている。
株式市場も、個々人が「欲」を出して「頭」をはたらかせて売買している。すると、うまいぐらいに投資資金の配分が決まって「全体として」うまくいく。自由主義経済というのが完全無欠でないように、株式市場も完全でない。まずいところは、取引所、参加者、お上などが調整しながらやっていくのが吉。
幼稚園の遊戯って何か自分らしくない変な例えだな。どっかで見たのが頭に残ってたんだろうか。忘れた。。。
よく言われる機能は上の2点。3点目は私が勝手に入れました。デイトレして、板を見てると、怪しい動きも見れます。日本全国1万人?個人デイトレーダーというのは1万の目で市場の怪しい動き、インチキを監視しているとも言えるのです。というわけで、そこでデイトレしてるあなた。これはインサイダーか!?超絶見せ板などを見つけたら通報しましょうね。
証券取引等監視委員会
http://www.fsa.go.jp/sesc/
ちなみに上の画像は、無頼伝涯という、昔マガジンでやってた漫画。「孤立せよ」という言葉で始まるのだが、市場のチェック者デイトレは「通報せよ」ということで。う、あんま、関係ないな。でももう書いちゃったし、いいや。。。
というわけで短期トレーダーというのは、株式市場の潤滑油みたいなもんです。自転車は油をさすことでとうまく走ります。しかしさしすぎるとすべるだけです。
投機の収益機会というのは、上記の「価格の歪みの是正」を突くことによって得られるもので、儲けは限られています。株式市場がいかに大きくても、デイトレが生きていける数というのは、おそらく、そう多くありません。
デイトレの株式市場での役割というのは、上の潤滑油のようなものなのですが、しかし、雑誌やTVなどで描かれるデイトレの像というのは、「働かずに暮らせる」「若いもんが部屋にこもってピコピコ」というイメージです。まぁ、そのイメージは間違ってはいないと思いますが、そんな楽して儲けられるうまい話はないですよ(あったとしても、長続きしない。あったとしても、向こうからやってはこない)。
そういうよろしくないイメージのためか、デイトレ不要論をとなえる人もよくいます。
A.デイトレだけで食ってくってことは
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail.php?qid=1010702730
B.デイトレは、社会への価値提供がない。
http://oshiete1.goo.ne.jp/qa2910556.html
Aの人は、自分の立場にいない人を感情的に批判しているだけです。例えば「技術者:営業なんて口だけでモノ作ってない」「営業:エンジニアなんて社交性のない能無し、取替えのきく部品」みたいな感じです。他人を否定することで相対的に自分を肯定するというのは、人間の本能みたいなもので、「飲み屋で同じ意見の人と話すときのストレス解消ネタ」「掲示板や知恵袋のような匿名サイトで書いて憂さ晴らし(?)」などは、別に間違った行動ではないでしょう。でも違う立場の人が見たら、単に不勉強で不幸な人が何か言ってるという感じです。
Bの元記事は、経済に通じている人です。そういう人でもデイトレを批判、不要とする人もいます(そういえば、和平さんも)。本心なのかポーズなのかわかりませんが、まぁ、極論を述べすぎると敵も増えるかもですよ。
んーでも存在意義とか言い出すと最後は哲学ですから。地球があるのはなんで?僕がいるのはなぜ?とか理由なんてない、好き嫌いで決めましょうって話になりますよ。デイトレだって、一応流動性や価格の歪みの是正という「もっともらしい意義」はありますが、実際やってる人は、「社会の役に立つから」やってるわけでなく、単に「儲かる」から(実際に儲かるかどうかは別にして、本人がそう思ってる)からやってるだけでしょう。儲けたい人がやってきて、競争して、適正数が生き残って、あまり有利不利は規制、改正されて、うまいぐあいに株式市場が続いていくという感じ。
参考になる(かもしれない)本
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