「雄と雌の数をめぐる不思議」(長谷川麻里子)という本を読んでいて、頻度依存という話が出てきました。
頻度依存とは生態系の中で、ある種や個体の最適な戦術が、他の個体の頻度によって変わるという話です。本では頻度依存の説明を次のような「正直者と詐欺師」という例で紹介していました。
ある集団があって、その集団の全員が「正直者」でよく働くとします。その集団に一握りの「詐欺師」が現れるとします。すると詐欺師は多数の正直者をカモにしてどんどん儲けることができます。しかし集団が詐欺師ばかりになると騙しあって自滅してしまいます。正直者と詐欺師の割合はほどほどであるのが一番安定するようです。
この話を見たとき、「正直者と詐欺師」を「長期投資家と短期トレーダー」に置き換えてみると、なんだかしっくりくるように思えました。異なるタイプの投資家、トレーダーがほどほどの割合で混ざっているのが、安定したマーケットの姿という感じがします。価格の歪みを修正するとか心理戦の騙しあいとかを考えると、短期トレーダーって詐欺師イメージっぽいし。
昔、短期のトレードはゼロサムだといった話を書きました。しかし、この詐欺師同士の騙しあいみたいなのは、あまり適切なイメージではなく、詐欺師は正直者からカモっており、縄張りを詐欺師同士で争っているという構図がより適切な気もしてきました。
正直者と詐欺師というと詐欺師が一方的に悪者そうですが、観光客とゴミ掃除人、植物とミツバチとか、そんな風におきかえてもいいかも。