HOME株本れびゅ2008年メディア界に旋風を起こす男 ブルームバーグ
メディア界に旋風を起こす男 ブルームバーグ
マイケル ブルームバーグ
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感想:右も左もブルームバーグ

ソロモン・ブラザーズを辞めた後、ブルームバーグを起こしたブルームバーグ氏の自伝。会社の名前もブルームバーグ、端末の名前もブルームバーグ、本の題名もブルームバーグかぁ。田中さんが書いた本の題名が田中みたいなもんだなぁ。マツモトキヨシとかサトウワタナベって名前の会社もあるし、まぁ悪くはないけど。なお、ブルームバーグ端末は最初は、マーケット何とかとか言う違う名前だったらしいが、途中からブランド戦略でブルームバーグになったらしい。

本のタイプとしては、伝記、偉人伝みたいな感じ。がむしゃらに働いて、ソロモンのパートナーまで上り詰めたブルームバーグ氏だが、会社の合併の余派で、突然クビ。といっても1000万ドルを手にする。一念発起し、ソロモン時代の部下数人を誘い会社設立。ソロモンでのトレーダーやシステム部門での経験を生かし、新しいトレード用情報端末を作る。「最初の顧客はメリルリンチで、6ヶ月でとにかく動くものを作り納品」「一新興民間企業でありながら、米財務省証券の価格情報配信を引き受ける(連邦準備銀行が価格配信の自動化をやるやる言ってて何年もできていなかったのを、ブルームバーグの得意分野で)」とこの話などが面白かった。

ITの世界でほとんど0から出発し大成功するって話は、2000年ぐらいの多くのネットベンチャーなどにも似ている。一方、中途採用より新人採用で育てる、企業買収はせずに社内でスタート、多角化も分野を絞る、といったブルームバーグの方針は、世紀末のITベンチャーと違うポリシーを感じた。時代も違うだろうが。

前半の事業を成長させていく過程での苦労話、自慢話あれこれは面白かったが、後半の組織論、教育論はじめ、いろいろ語っているところは、どうでもいい感じがして眠かった(本人はそっちが語りたくて本にしたのもあるらしいが)。チームワークが大事なのは分かるが、個室より共同スペースがイイ!とか、中途採用より新人を育てた方がイイ!とか、そりゃあんたんとこの会社はそれでうまくいったんだろうが、別にそれが唯一の真理ってわけでもあんめぇって感じ。あと、日本でもちょっと前の流行語のように言われてた、ネットと放送の融合みたいなことをいろいろ書いてのはちょっと先進的な感じがした。この翻訳本が出たのが1997年で原書はもっと前。そのころって自分は、学校ではじめてHTMLを作ってみて、へぇ〜と思ったけど何もしなかった時期かな。

ブルームバーグ氏は現ニューヨーク市長で、wikipediaを見ると、次の大統領に立候補とのうわさもって書いてた。本の中で、政治家は嫌な奴が多いし、立法って暇そうだけど、行政府の仕事(市長、州知事、大統領)なら、ちょっと興味あるみたいなことを書いてたな(P305)。

この本を読んだきっかけは、ちょっと前の東洋経済の「新聞」特集のコラムで、トムソン・ロイター合併のコラムを見たこと。端末間でメッセンジャーすることを当時のトレーダーたちは「ブルームバーグする」と言った(いち早くメッンジャーの機能を取り入れた端末だったので)とかいう記事を読んで、何じゃそりゃーと思ってぐぐってたら、ソロモン出身のブルームバーグさんNY市長とか見て、どんな人なんだろう、と思って読んでみた。

2008/4/29