HOME株本れびゅ2007年株式投資これだけはやってはいけない
株式投資これだけはやってはいけない
東保 裕之
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感想:昔話が面白かった

著者は元山一證券のディーラーだったそうで、そのときの経験談が随所にでてきて、具体例のない投資のススメ本にくらべて勝っている。また、書いていることも尤もなことが多いと思った。話に機関投資家をからめてくるのがよかったと思う。例えばアナリストレーティングの変更情報は、先に機関投資家にレポートされその後一般に公開されるのが多いので、一般投資家は不利である点を理解する必要があるとか。アナリストレーティングでは、買い煽り売り逃げにひっかからないように、アナリスト所属の証券会社が実際に買っているかの手口を確認してから買うべきとかふむふむと思った(尤も今は手口完全非公開なので確認できませんが)。指値は気になるので仕事を持ってる人は寄りの成り行きに徹するべしとか、一般的サラリーマン投資家の初心者の人にもよさそうな本だと思った。

あと、昔はリアルタイム板情報の配信などなかったので、東証の端末を見て、営業経由で大口投資家に伝えられるものだったとか。225先物で雨の日は下がるアノマリーのためにわざわざ大阪や九州の支店に天気を聞いたりなど、妙な逸話が面白かった。

イマイチだったのが、テクニカル指標を使う例が随所に出てくるところ。著者がチャートで商売をしてる?人みたいで、あちこちに、「自分で決めたテクニカルでサインが出たらすぐ買うべし」みたいなそんな精神論も多かった。「個別株のチャートだけで判断して買ってはいけない」という一節もあればよかったが。

2007/6/6