HOME株本れびゅ2007年金融イソップ物語
金融イソップ物語―“あと一歩”で儲け損なった男たちの話
ジョン トレイン 坐古 義之
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感想:歴史は繰り返される

株や金融にまつわる、詐欺、バブルなどの事件談をまとめた本。そんなこともあったのねーというトリビアな事件がいっぱい。安易な増税や増紙幣による国の失策などの話もあった。個々のエピソードは短く、通勤電車内で読んでも面白そうな話。ポンジー講とクエート株式市場のバブルの話が面白かった(特に教訓があったというわけではないが、記憶に残った)。最後に本の著者は、個々の話を次のように分類している。

失敗の代表的なパターンを類型化して読者の判断に役立つよう試みた。集団思考型、因果応報型、ポンジー講型、投機マニア型、遠山青峰型〜等々の失敗が、時には個々に、時にはいくつか組み合わさって演じられる。

あと、騙す側は、最初から騙す場合もあれば抜き差しならなくなってやってしまう場合もあるが、「明確な意思」をもってインチキ技を発動するもんだなと思った。でもって、「国」であっても悪意?を持って国民から奪い取ってきた歴史がいくらでもあるという事実があるんだなーと思った。日本だって(アメリカだって)もう何十年かのうちに、膨大な国債をハイパーインフレや他のインチキ手段で解決しなければならない時が来ないとも限らない。

あと、事件の後では、多くの人が貧乏くじをつかまされることなる。多くの人の気をまぎらわすために一部の典型的な人物や会社をスケープゴートにして、ああバブルはいけないね、とかで締めくくろうとするが、本当にずる賢い人たちは、最初に儲けて先に逃げてしまっているのではないだろうか。この本は「あと一歩で儲けそこなった男たち」なので、そういう人たちは出てこないが。

2007/6/28