感想:大局観をもつために ★★★★
最初、自慢ばっかで何だこりゃと思ったが、多少自慢が多くても許せる内容でした。オススメ。マクロ、テクニカル(主にモメンタム)、センチメント、アノマリー、個別株選別(ショットガンアプローチ)など幅広い話題に触れ、それらを総合した投資方法について解説している。
各話題について、重要な指標について解説しているが過去の株価の動きを元に最適と思われるルールを提案している。例えば、単に「金利が上がると弱気」というのでなく、金利が低水準にありずっと引き下げられていた後にはじめて上がったとき(反転したとき)、あるいは2回連続で上がったときに株価は弱気になる、といった風の解説をしている。指標はアメリカのもので、あまり具体的なルールがあっても日本株には役に立たないが、何か通ずるものがあるように思える。
センチメントとアノマリーの章で紹介されている各指標(ミーチュアル・ファンドのキャッシュ保有比率、投資アドバイザーの強気/弱気、バロンズの広告、公募/売り出しの数、祝日前後、曜日、月、大統領選挙、年末の節税売り)は、トリビアとしても面白い。
たまに出てくるアドバイス的な記述もはっとするものもある。例えば空売りに関する記述で、「商店で在庫切れのものを注文して手付金を払う」のは店が客にすぐそこにないものを売っている、つまり空売りしていることだと言っている(金融市場だけの取引でなく実社会でも行われていること)。空売りは損失は無制限で利益は限定的というが、逆に考えると、空売りで価格が下がったところで追撃買いすれば(利益が出ているので保証金利が下がりもっと買える?)、0円になるまで買いましていけることになるので利益も無限であるとも言える(つまり表と裏があり、買いに比べて売りが不利ということはない。ただ、これは買いにおけるナンピンのようなものでもある)。
株式市場で利益を出すには、大相場に乗ることが大事で、そのためには、適切な時期に市場についていかないといけない。今自分がやっている値幅取りメインの戦術もそれはそれで悪くないが、大相場には乗って行きたいもの。そのためにはまずマクロをよく見ることが大事だな。今の日本はどうなんだろう。
2006/4/1レビュー