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2006年
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実践的スペキュレーション―失敗と成功の戦略
実践的スペキュレーション―失敗と成功の戦略
ビクター ニーダホッファ ローレル ケナー Victor Niederhoffer
感想:根っからブルの統計オタク ★★★★
BNFのハンドルネームの由来になったトレーダー、ニーダホッファの著書(共著)。
収益と株価は連動しない(個別株ではなく市場全体)、バリュー投資は良い投資法ではない(度々、株価は高すぎるといい買い損ねる)など、今まで常識と考えていたことに一石が投じられており興味深い。
ニーダッファは、需給バランスや値動きに賭けるいかにも投機筋な人というイメージがあったのだが実は、けっこうファンダ派で、科学的(統計的)に検証した堅い方法を採用し、逆張り派であり、そして極端な強気派であるらしい。強気であるためか、弱気のバフェットも嫌いだし、弱気のグリーンスパンも嫌いらしい(グリーンスパン嫌いはLTCMは助けたのに自分は破産なんて不公平だとか内心思ってるのかも?)。
一貫して統計的な検証を重視しており、
見せかけの相関
や
常に変わるサイクル
に関する話は興味深い。統計的に有意でないテクニカルは完全否定だが、過去ニーダホッファ自身もかなりテクニカルの研究に打ち込んだ結果でもあるらしい。ちなみに、
マーケットの魔術師
もテクニカル派が多くて嫌いらしい。
ひっかかったのが、やはり強気すぎるところか。特に9章とか。経済と株式、特にアメリカ経済、アメリカ株が過去右肩上がりだったのは分かるが、それってある意味トレンド・フォロー(←本の中で否定)では?と思ってしまう。1,500,000%の収益とかいう数字を(めずらしく批判せずに)出してくるにいたっては、右肩上がりだったのは確かだが、インフレ考慮したらそんな数字は出せねぇだろと思う。REITに弱気な章もあり、著者自身もある立場に立ってモノを言ってはいるのかなぁとは思った(批判するには当らないが、それもプロパガンダか)。強気がひっかかるのは、自分が日本株をやってるせいだろうな。バブル以降の日本株は、右肩上がりとも思えないからかなー(何百年のスパンでは経済成長するとしても自分が生きている中の投資期間は右肩上がりとは限らない)。
あと、翻訳と構成は読みづらかった。初版だからか、明らかな誤訳と思われる箇所が何箇所もあったし、文章が引用なのか何なのか、かなり分かりにくい(特に最初の方)。あと、一人称っぽいところで、ビクターが、ローレルが、とか言われると一体誰が書いてるんだそれ?と不思議な気分になる。自分のことを名前で呼ぶなんて、若い女の子とヒロシぐらいじゃないか。
以下ドッグイヤー箇所
・P39 バフェットの「分からない会社には投資しない」ということへのつっこみ
・P62 収益を会社がいかにごますかの例。パラマウントが大ヒットした「フォレスト・ガンプ」の売上げに32%のコミッションを課し、そこで発生すべきだった収益を将来の保険として隠した。原作者のウィンストン・グルームは純益の3%という契約だったので儲からず(後に裁判で和解)、この手の問題でもやり手?のトム・ハンクスは総売上で契約だったので儲かったとか。
・P84 構成の誤り。コンサートで立てばよく見えるから、全員が立って見ればいいじゃないか。
・P86 第一四半期の数値が貧弱な会社の株を買う
・P128 取引を促すシグナルの点では、出来高が増加する(大量に玉を持っている人にはテクニカルのサインもよい売買ポイントか?)
・P134 大口が注文を出すとき、それはどんな意味をもつのかを考える。値段を上げたいのか、売り抜けたいんか、フェイクかetc...
・P146 ボラティリティ指標の有効性→リスク(ボラ)が高いからリターンも大きいとは言えるか。「恐怖を買いヒステリーを売る」みたいな。
・P148 テクニカル取引システムのマーケッティング。昔のある期間は確かに機能したが、今や機能しない、トレンド・フォローシステム?
・P163 市場にはフィード・バックという機能がある。間違った判断をした人はお金を失う。しかし評論家の類の人たちは、このフィードバックというシステムがないため、延々と間違った予想(強気、弱気)を繰り返しても食いっぱぐれない?
・P239 スィングはいいんだ
・P241 勝つか負けるかでなく「ドロー」もあるよ。
・P297 収益のモメンタムは継続する傾向
・P341 市場を科学で例えること。他の分野の科学と融合させること。
・P365 つまずかせる方法?というかラウンドの数値ってよくわからんが。
・P374 交渉、バーゲン、オークションなどについて一冊読んでみるのもいいかな
・P395 インサイダー売りは株を売るシグナルとしては利用されない→サイバーA株の楽天の売りをちょっと思い出したが、来週どうなるかなぁ
・P407 収益はごまかしたり、膨らませたりできるが、キャッシュを支払うときは、何よりもまずキャッシュを持っていなければならない→配当を出している会社は不正会計しずらいという見方もあるのねー
・P428 ヨーロッパの蘭のミツバチを騙す話
・P430 正しい貸借対照表の読み方を知ることは、損になることは何もない。いつかテクノロジーが戻る日のために。
・P440 証券市場の悪魔の辞典。例:配当=ブービー章
・P454 魚の群れのリーダーを追う。セクターの主導株と出遅れ株の例
・P464 ビクター一押し書籍「楽観主義者の勝利:グローバルな投資リターンの101年間」(
Triumph of the Optimists: 101 Years of Global Investment Returns
)
2006/7/22レビュー
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