HOME株本れびゅ2005年バフェットからの手紙
バフェットからの手紙 ―「経営者」「起業家」「就職希望者」のバイブル
ローレンス A カニンガム 増沢 浩一 Lawrence A. Cunningham
4939103218

感想:ミスター長期投資 ★★★★

この書籍は、バフェット氏が、バークシャー・ハサウェイの株主向けに綴った手紙をテーマ別に編集したものです。なお、元になった手紙は http://www.berkshirehathaway.com/letters/letters.html から閲覧できます。

次のありふれた一文を読み、長期投資の基本的な考え方を改めて考えさせられました。
価格が日々小刻みに変動する紙切れを保有しているにすぎず、経済的な、あるいは政治的な不安をもたらすような問題が起きれば、株を売却してしまおうという考え方です。そうではなく、例えば農地やマンションを家族と共同で所有する場合のように、無期限で付き合っていこうと考える企業を部分的に所有しているのだという、明確なイメージを持っていただきたいのです。
もちろん、この言葉は、バークシャーが継続的に利益を出しているから、投神のバフェット氏が言うから重みがあるのですが、実際にバークシャーの株主の90%以上が毎年入れ替わらないというのが驚きです。

本書の中では、バフェット氏の「株主重視」の考え方が非常によく伝わってきます(株主向けの手記なので当たり前かもしれませんが)。ストックオプション、株式分割、内部留保、買収などが乱用されることで、株主にどういう悪影響を及ぼすかを説明し、バークシャーではどういった施策を施しているかが説明されています。その他、効率的市場理論や裁定取引など様々な話題についてバフェット氏の考え方がわかります。

また「バリュー投資」についても触れられています。バリュー投資とは、企業の「価値」に注目して「割安」な企業に投資する方法です。ここで言う価値は業績などファンダメンタルに基づくものです(成長性含む)。なお割安といっても、よくて安いものが対象で、悪くて安いバーゲン品に投資するのとは違うらしいです。なお、安いものに投資する理由は「安全圏」を確保するためとのこと。

現状の知識レベルでは理解しずらいことも多かったので、もっと知恵がついたらもう一度読み返してみよう、と思わせる一冊でした。

現在、資金回転効率の点で、短期投資を行っていますが、企業のファンダメンタルを重視して取引をしている人も多い以上、その視点も養っていく必要があると思いました。リスクについては、賢明なる投機(投機とは言わないか)というのもあると思っています。

2005/1/5レビュー 転載