投資の科学 あなたが知らないマーケットの不思議な振る舞い
マイケル・J・モーブッシン 川口 有一郎 早稲田大学大学院応用ファイナンス研究会

感想：動物ネタ多いな ★★★★

全３０章の投資エッセイ。興味深い話もちらほら。

正規分布じゃなくてファットテールだよ、不合理な個人の集合で合理的な市場になるんだよ、みたいな話が多かった気がする(のは後半だけかも)。従来のファイナンス理論(行動ファイナンス含む)にケチをつけるというか、一石を投じるような話みたいだが、従来のファイナンス理論というものを知らないもんだから、何とも言えない(勉強しようかなー)。

どうでもいいことを小難しく言ってるだけ(と思える)章もあったが、多くの章は面白かった。エッセイでもあり、タイガーウッズがショットを改造した話とか、グッピーの求愛の話とか、面白そうな雑談風の導入から入って解説という流れで、多分、普通の株リーマンの人が読んでも楽しめる。

題名は「More Than You Know: Finding Financial Wisdom in Unconventional Places」が「投資の科学 あなたが知らないマーケットの不思議な振る舞い」か。。。「あなたが知らないマーケット」が本題の方がよかったんでないかな。「投資の科学」なんて小難しいよ。だいたい「株式投資の科学」って本が既にあるのに。

以下、ちょっと気になったところメモ。

• チャルディーニの行動特性のうち、投資家に関係深い行動は、義務と一貫性、社会的承認、希少性 (P83)
• グッピーの求愛活動では模倣が行われる (P93)
• 心理学的な罠−自信過剰、アンカリングとアジテーション、不適当なフレーミング、不合理なコミットメント・エスカレーション、コンファメーション・トラップ (P100)
• エル・ファロル・バーの問題 (P107)
• チェス勝者の戦略ー先を見すぎるな、戦略を充実させ条件の変化に応じてそれらを見直せ、競争相手をよく理解せよ、どんなに小さくても自分に有利な点を探しだせ (P147)
• タイガーウッズのショット改良の話とフィットネス・ランドスケープ (P151)
• デシジョンマーケット(P185)
• テールが語ること(P196)
• ベルヌーイ、サンクトペテルブルク、フラクタル (P202)
• 株式市場を複雑系ととらえることで避けられる罠−すべての結果に対して個別の原因を探そうとする、個別の情報にこだわってしまう (P213)

気になったところは、自分で深く調べてみることではじめて、何か有用なものが見えてくるかもしれないが、いつものパターンでは、読んで満足して終わりか。

2007/10/13