HOME株本れびゅ2007年新しい株式投資論―「合理的へそ曲がり」のすすめ
新しい株式投資論―「合理的へそ曲がり」のすすめ (PHP新書 488)
山崎 元
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感想:おいしい話に騙されないために

投信の販売や投資家教育などで、よく言われている事柄をウソ、インチキと切り捨てていくところがなかなか面白い。特にある種のファンドマネージャーに対する辛口批評が痛烈である。「ファンドマネージャーが長期をすすめるのは、短期的に失敗しても、長い目で見てくださいよ、と言い訳できるから」「経営者を評価して会社を選ぶなんてムリ」。

またいろんな理論の現状みたいなものについて言及されているのがいいと思った(こういうのあまり見ない)。「CAPMは理論の前提条件が現実的でないので、実際は全く役に立たない」「リターン・リバーサルは、過去アメリカでは5年くらいの、日本では1〜3ヶ月の研究がなされた。さらに日本では数日や日中などの短期間の研究をしている人が多数いるが、多数いすぎてもはや飽和状態か」

「情報では勝てない」「タイミングじゃ勝てない」「超短期(デイトレ)じゃ勝てない」「資金がたくさんあっても勝てない」と、いろいろと「おいしそうなウソ話に騙されない」ための話がでてくる。そして、実際に役に立つ(かもしれない)いろいろな理論や最新研究などについていくつか紹介されている。

たぶんこれは良書です。が、あえてケチをつけさせてもらうと、「で、結局オマエは勝ってるのか?」と言いたくもなるかも。あれもダメ、これもダメ、とやっつけまくった割りには、紹介している投資理論などがやや普通すぎるのがちょっとどうなのよとは思った。結局のところ、じゃあどういうのが、わりと勝算のありそうな投資家像なんだろう?安くなったところを、分散して仕込んで放置、みたいな、長めのスウィングトレーダーみたいなのかなぁ?まぁハウツー本じゃないので、具体的な話はいらんと思うが、うーん。微妙な反感がわいてくるのは、デイトレやタイミング投資を否定しているのがイマイチ気に入らなかったのかも。

2007/11/14

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