HOME株本れびゅ2007年相場師一代
相場師一代
是川 銀蔵
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感想:わが社の株は値上がりするんでしょうか

波乱の生涯をおくった是川銀蔵氏の自伝。

このじいさん。まず異常に勉強家で恐るべし予測的中率で、知力100の諸葛孔明並みです。

・アメリカの金本位体制停止の時期を当てる
・セメント需要の急回復を当てる→日本セメント
・大金脈が続いていることを当てる→住友金属鉱山

その予測というのが、他の大勢と違うため相場で成功するわけです。日本セメントを大量に買って大株主になったとき、中にいてよく事情を知っているはずの支店長が「わが社の株は値上がりするんでしょうか」とか聞いてきたという逸話が笑えた。あと、本には書いてないですが、これを見ると持田製薬で失敗したという話もありました。

そして機を見るに敏、まさに投機家、スペキュレイターです。

・関東大震災でトタンを買い占める
・鉱山に隣接した土地を先に買う

など、断片的な情報を見て確信が持てた時点で即座に動きます。投機では大勢が決してないときに先駆けて動くからこそ収益機会があります。

そして破天荒、波乱万丈。人間のスケールが違います。中国で日本軍相手の商売で捕まったが、将校の温情?で外に出されたとき「邪道の金儲けはやるまい」と誓う。も、次の瞬間には、既に現地の硬貨を溶かしてインゴットにして密輸してますし。さらに、破産した後の借金生活の中、家にお金を入れずに図書館で勉強。しかも3年。その後に嫁に株をやるから金をクレと。「株でかせげなくなったら、毎日何のバイトして暮らすんだろう?とか不安になる」とかそんな小市民の考えは超越しています。


2007/2/15