HOME株本れびゅ2006年マーケットの魔術師3部作
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マーケットの魔術師【株式編】(ピンク)
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感想:トレーダー必読 ★★★★★

良書です。精神論が多いですが、トレードに関するいろんな示唆にも富んでいます。まだ読んでない人は是非読もう。ただ、初心者だと難しそうなので、株をはじめて1年以上たったぐらいの人がいいかも。

ふと、昔プログラムにまじめに取り組んでいたころは、Java読書会とかに通っていたんだが、トレードについての本を語り合う「トレード読書会」みたいなのないのかなぁ?と思った(有料セミナーでなく、単純に投資やトレード技術の向上と情報交換を目的とした集まりみたいなの)

以下、感想つれづれです。


■■■マーケットの魔術師(無印)

■P46 マイケル・マーカス / アフガン進行のニュースを見て、香港市場で金を大量に買った
→市場に影響を与えるニュースは、誰もが行動を起こしていないうちに動ければチャンスとなる。例えば、(やや不謹慎ではあるが)大きな列車事故などに偶然居合わせた場合、TVで速報が入る前に携帯から注文しておけば利益を得られるかもしれない。とかいって、俺の旧型携帯では何かあっても注文できないが。

■P72 ブルース・コスナー / テクニカル分析によりインサイダー情報も織り込んだ株価の動きを捉えることができる。の一例としてソビエト人トレーダー。
→テクニカル分析の優位点?の一つ。ただ、単に「動いたから買う」をしているだけではダマシも多いだろう。

■P90 ブルース・コスナー / ブラックマンデーとポートフォリオ・インシュアランス、プログラム・トレーディング。
→そういうのがあったのね。最近のライブドア・ショックでは?

■P98 リチャード・デニス / 金曜日に強く引けた場合は翌週はじめも強いことが多い
→本当だったら(今もそうなら)使えるかも?

■P170 エド・スィコータ / 自分のトレードシステムの「ルールに従う」ことと「ルールを変える」ことの重要性。
→規律をもって、しかし時によっては柔軟に。トレードでは、こういう対立する2つのことが重要だとよく言われる。BOX相場ではオシレータの売られすぎを見て、上げ下げを取り、トレンド相場ではオシレータを逆に解釈しストロングホールドとか。

■P174 エド・スィコータ / 株式市場は他の市場と違い、素直なテクニカルが効きにくい。同じ株価パターンが繰り返されることもめったにない。
→株式市場は、テクニカルやパターンといった手法が効きにくい市場なのか。

■P177 エド・スィコータ / 全ての人が株式市場から欲しいものを手に入れる。例えば損失を出すトレーダーは本心や無意識では、損失を出したくて出している。
→そういう人もいるかもしれないが、全部そうだというのは、行き過ぎかなぁと思う。フロイトが全ては性衝動だみたいな感じの論を主張したような。アレクサンダー・エルダー先生も投資苑か何かの中で同じようなこと言ってた記憶もある。


■P192 ラリー・ハイト / 数あるテクニカル指標の過大評価されているのものは?「買われすぎ、売られすぎ」の指標。特に重要だと思われる指標は?重要なニュースに対する反応。
→単に、売られすぎ指標に逆張りとかしてもダメかも(他のいくつかの要素があってタイミングの一つとして使うならいいかもしれんが)。好ニュースが出て、株価が上がらない。悪ニュースが出て、株価が下がらない、という場合は、既に織り込み済で株価は逆に動くことが多いらしい。

■P224 ウィリアム・オニール / CANSLIM公式
・Current earnings per share 今四半期1株当り利益
・Annual earnigs per share 当期1株当り利益
株価が上がるためには1株当り利益の増加が必要
・something New 何か新しいもの
新製品、新経営などのカタリスト。新高値というのも。
・Shares outstandings 発行済株式数
機関投資家が自分ちのルール上買えない小型株の中にも成長株がある
・Leader and Lggarol 先導株と出遅れ株
先導株を買う
・Institutional sponsorship 機関投資家の持ち株比率
先導株はたいてい機関投資家の買い需要により上昇する。ただし、機関投資家は下落時は大きな売り主体にもなりうるので、ほどほどの水準がベターだとか?
・Market 市場
個別銘柄は市場全体に左右される。日々の株価や出来高から相場が天井を打っていないかを知る。

■P242 デビット・ライアン / リラティブ・ストレングスを重視
→オニール同様に先導株、言い換えるとリラティブ・ストレングスを重視。この場合のリラティブ・ストレングス(相対力指数)は、「単一銘柄の株価の売られすぎ買われすぎ」のことではなく、他の銘柄との比較で強いか弱いか。

■P263 マーティ・シュワルツ / スペシャリスト制が嫌い。次に大口注文がどこに入るかを知っていればこれほど有利なことはない
→スペシャリストは証券取引所で一つか複数の銘柄を専門に売買する人たちのこと。先物取引でのローカルズと似たような意味か?フロントランニングとかそのあたりにも関係するかな。

■P288 ジェームズ・B・ロジャース / 私が知っていることを誰もが知らない(同じ公開情報を元にしているのに人により判断が異なる)。それが相場のヒステリーの一因となる。ヒステリーの強さや長さは正確には計れないので、空売りするにしても、ある程度の資金量、時間の余裕が必要。
→一般にトレーダーという人たちは、自分の判断に自信があっても、株価が逆に動けば一時撤退することが多いが、投資家と言われる種類の人たちは、損失%での損切りのようなものをしない、と言うことが多いなぁ。それにしても、ジムは様々な要因から下す判断の的確とそれに対する自信がすごい。去年ぐらいか、TVではじめてジム・ロジャースの映像を見たが、そのとき、押し売りセールスマンのように、「商品上がるあるよ。買うなら今だ。さぁ買え。ほら買え」みたいな感じで胡散臭いと思ったが、実際上がったな。

■P327 マーク・ワインスタイン / チーターとすずめ。チーターは獲物が確実に捕らえられるチャンスが来るまで一週間でも茂みの中で身をかくす。一方すずめは、パンくずを少し取ったらすぐに飛んでいき、決して深追いしない。チーターのようにポジション・トレードを、すずめのようにデイ・トレードを行う。
→俺もデイはすずめのように戦おう。でも大きな利益はポジショントレードで取らねば。

■P362 トム・ボールドウィン / 敗者は真面目にやらない。勝敗は五分五分と考えギャンブルをやる。もっと相場に影響を与える要因、株式、金、他のピットにいるトレーダーを観察し、勝率の高い機会を探し、それを待つべき。
→ある単一銘柄のチャート(過去の値動き)を見てできる判断には限界がある。もっと他の銘柄、市場などを幅広く観察して、少なくとも50%+取引コストを上回るチャンスやパターンを探すべき。


■■■新 マーケットの魔術師

■P136 ウィリアム・エックハート / 反対概念について。売られすぎ、買われすぎの指数について
→「総強気は売り、総悲観は買い」は理論的には正しい。しかし、コンセンサス情報や掲示板などから、それを分析するのは難しい。また、RSIやストキャスなど逆張り指標は、統計的には収益期待値は0。効果的な指標でないのにこれらの指標は、チャートに重ねてみると、良く見えやすい(あてはまらないところを見ずに当てはまる部分のみに注目しやすい)。

■P170 モンロー・トラウト / ストップ注文について。高値、安値、きりのいい数字。
→高値、安値付近は大勢がストップ注文が入れやすいところ。ローカルズは、そのストップをふませて、買戻しで利益を得ようとするので、普通のトレーダーは当たり前の場所にストップを置くべきではない。また、このようなストップのふみがテクニカル上のダマシの一因ともなっている。これ以外に人気のストップ価格としてキリのいい数字というのがある。このきりのいい数字には磁石のように、株価が届きやすい。ストップ高、ストップ安というのも、近くまでいけば最後までいきやすものかもしれない。だが、みんながそういう意識になると、それを狙うトレーダーが増え、そこまでいかないダマシが多くなるか。

■P183 モンロー・トラウト / クラブ3000。3000ドルも払ったシステムなのに価値がないとわかって不満がたまった人の集まり。
→日本にもこういうのあるのかな?

■P183 モンロー・トラウト / マーケットで勝つには優位性が必要であり、それ以外のことは二の次である。
→損切りしてるだけじゃ勝てない。マネーマネージメントや精神論などはトレードを継続するために、効率を上げるために重要な要素ではあるが、「最も重要」なことではない。

■P220 スタンレー・ドッケンミラー / 日本市場の弱気の判断材料。上げすぎ、投機による吹き上げ、日銀の金融ひきしめ。
→何か今の状況と少し似てるな。昨年からの株価大幅上昇。信用買い残。量的金融解除。


■P224 スタンレー・ドッケンミラー / 「それでポジションと呼べるのか?」 by ソロス
→例のセリフがでてきました。このセリフは「俺って大金持ち。それってしょぼいトレードだね」という意味ではなく、「そのポジションに強い確信を持っているならかなり強気でいけ。貪欲になる勇気が必要」ということらしい。

■P244 リチャード・ドライハウス / 高値を買う。好ニュースを買う
→これは少し経験のあるトレーダー
からは、避けられるエントリータイミングだが、ファンダやニュースを判断し、とてもいいと思えば、落ちてくるのを待たずに買っていくのがチャンスを逃さないトレードらしい。まぁ、要は情報を正しく判断できれば、少し上がってもまだまだ安いと判断できるのだろうが。。。

■P250 ギル・ブレイク / 投信タイマーのペニー・ルール
→当時は、前日より高値引けは、翌日も高値。安値引けは翌日も安値という単純な方法でトレードがうまくいったらしい。ノーロードファンドで似たようなことしてる人がいたなぁ。うまくいくものだろうか。

■P288 ビクター・スペランデオ / 直近高値を抜いて反落パターンはストップ踏ませのため。重要なチャートパターンは多くの場合、取引所のプロたちの動きをベースにしている。
→ローカルズが逆指値のストップをふませる目的で、買いあがった場合は、その後、買いあがる主体がいないので、株価は反落していく。また、スペシャリストには事前に自分が担当する全注文を知っているという有利さがあり、ローカルズと同様のストップに火をつけたいという思惑がある。トレードの手法や参加者が変わっていけば、チャートパターンというのも変わっていって当然である。

■P383 ブレアー・ハル / ソープの本
→Beat The Dealer(ディーラーをやっつけろ) by Edward O. Thorp (エドワード・ソープ)http://www.amazon.com/gp/product/0394703103
カード・カウンティングにより、勝率を上げ、カジノに勝つことができることが示されている。ソープ氏は他に、Beat The Market(マーケットをやっつけろ)という本も出しているが、内容は不明。

■P404 ブレアー・ハウ / 「優秀なマネー・マネージメントができるならば、貧困なシステムでも稼げる」という人がいるが、ナンセンスな議論である。
→何個か上の優位性の話に同じだが、この点をまず理解しないとジリ貧である。

■P414 ジェフ・ヤス / テレビのゲーム番組。ベールで隠された3つの商品がある。あなたが選んだのは1番。司会者は「OK、キャロル、2番の商品を開けてください」と言い、アシスタントがベールを取るとどうでもいいような品物です。司会者は何番の賞品が高価なものかを知っているのです。したがって、彼はベールを取る順番を心得ているのです。ここで司会者は「3番に変えますか?」と、聞いてきます。1番のままでいいのか、3番に乗り換えるべきなのか?
→変えても変えなくても確率は同じ、と思いきや。分かるような分からないような。あれー、ミリオネアのファイナル・アンサーも同じでは?と思ったが、あれはハズレを一つはずすわけでもないし、毎回聞いてるしな。

■P435 チャールズ・フォルクナー / どうでもいいセミナーでも有効に思えてしまう理由
→人は仕事で不調なときに自己啓発セミナーに行く。その後、同じ仕事をした場合は、セミナーに何の高価がなくても、(単に統計的な理由で)普通に仕事ができただけで、不調のときよりうまくいったと感じる。プラシーボ(偽薬)効果とも言える。

■P452 チャールズ・フォルクナー / NLPトレーナーのゲイリーが重症を負った後のリハビリでとった方法。他の同様のリハビリを成功させた選手たちの根本的な特徴を調べた。1、「前向き」「逃げ」の両方の動機方向性。2、目標に対する真剣さ。3、段階的な計画。4、遠い最終目的でなく、近い次のステップに意識を集中。5、かかわりを持つこと。6、自分の尺度でリハビリを評価
→6の「他人と比べてどう」ではなく、「昨日の自分と比べてどう」という考え方が、トレードだけでなく、地道で誰でも実践でき効果のある考え方だな、と改めて思った。


■■■マーケットの魔術師 株式編

■P114 マイケル・ラウアー インサイダー買い、カタリスト
→バリュー投資?のラウアー氏のエントリー条件のうち2つに特に興味がある。単に割安なだけではダメで、株価が上がるきっかけとなるカタリスト(触媒)があること。また、インサイダー買いは一番会社のことを知っている経営者が将来株価が上がると考えている証拠である。

■P194 ダナ・ギャラント 空売り候補の「赤信号」。・売掛債券が多い・会計士の交代・CFOの頻繁な交代・自社株の下落について空売り筋に原因をなすりつける会社・一時的な流行に乗じて核となるビジネスを変えた会社
→最後の条件で、投資や不動産事業にがらっと業態変換した会社っていくつかあるよね。。。うまくいってるとこはいいんだけど。

■P222 マーク・D・クック 債券レシオトレード
→債券とS&P指数は、最初ほぼ連動し、次にあまり連動しなくなり、最後には逆に動くようになる。日本の日経平均(主要株の動き)と新興市場も以前は逆の動きをしていた感もあるが、今やほど連動している。いづれまた同調しなくなっていくのだろう。

■P304 アーメット・オクマス 投機色の強いトルコの株式市場で若かりしころやっていたトレード。3連ストップ安を買い、最初の反発で売る
→ストップ安のリバウンドはうまくとれればチャンスではある。

■P309 アーメット・オクマス インサイダー買いの重要性
→「ピーター・リンチの株で勝つ」でも解説されている。まだ読んでない。

■P389 スティーブ・レスカルボー システムには寿命がある。あまりに多くの人が同じシステムを使い出すとマーケットはその効力を弱めてしまう。効果のあるシステムは黙々と使いつづけること。売られているシステムを買って使っても効果は疑問。「1月効果」の例。
→相場の世界で、寿命を向かえずに「一子相伝」されているシステムやトレード法とかもあったりして。

■P445 ジョン・ベンダー ランダム・ウォークではない株価のバイアス。テクニカル分析が有効かどうかは別にして、多くの人が、そこに抵抗線や支持線があると思えば、自分もそこで買いを入れる。ハイテク株が人気で上がっているうちは、ハイテク株ファンドにさらに資金が流入するので、自分もハイテク株を買う。
→冷静に分析できてれば、追従するのが正しい。

■P451 ジョン・ベンダー ブラック・ショールズ・モデルによらないオプション戦術。金市場で、ほとんどトレンド・フォロアーであるCTA(商品投資顧問業者、先物市場におけるファンドマネージャ)が多く参入していた。彼らはストップロスを用いるトレーディング手法を用いていたことから、価格が下落すればドミノ倒しのごとく売りの波が引き起こされるかもしれないと感じた。そのような場面でオプションのプットを買う。ブラック・ショールズ・モデルではあり得ないような水準まで下落することがある。
→参加者を冷静に分析できれば、そういう手も使えるのか。ボリンジャーバンドや何やらで普通は起こらないからという理由で逆張りするだけではダメと。

■P510 デビッド・ショー アノマリーは公表され、みんなが利用すると効果がなくなる。この分野の有名な研究者はアンドリュー・ロー。
→誰それ。これか。金融工学のエライ人ですか。Andrew Lo
http://web.mit.edu/alo/www/

■P543 スティーブ・コーエン トレーダーにペアを組ませる
→ペア・プロみたいですね。うまくいくのだろうか。

2006/3/18レビュー