HOME株本れびゅ2005年ゾーン―相場心理学入門
ゾーン・相場心理学入門
マーク・ダグラス Mark Douglas 世良 敬明
4939103579

感想:トレードの心構え本 ★★★

筆者は一貫性の重要さを説く。トレードは、自分のもつ「優位性」と「不確実性」の結果であり、長い目で見ると、「優位性」を信じて、邪念を持たず、トレードした人が勝つ。「優位性」とは、トレードにおける判断基準や戦術のことである。「不確実性」とは相場(他者)の気まぐれ、ランダム性のことである。個々のトレードでは、「優位性」より「不確実性」の方が結果に与える影響が大きいのだから、個々の結果に一喜一憂しないことが大事だということらしい。

思うに問題は、「優位性」が本当に優位なのかどうか、分からないということだろう。筆者はファンダよりはテクニカル重視らしいが、一般的なテクニカル指標は、少なくとも統計的には有意でない(有意な指標を知らない)。検証しようにも「不確実性」が大きすぎる。自分の持つ戦術に絶対の自信がないからこそ、不安で、数回の負けで戦術(優位性)を変えたり、修正する人が多いのだろう。かといって、何の裏づけもなしに、戦術を妄信するのも、思考停止だし。

面白いエピソードもあり、そこそこ面白くは読めたが、全般的に文章が分かりにくい。分かりにくいのは、理解が難しいことが書いているのではなく、単に説明が分かりにくいからと思われる。外人らしく(?)、結果を最初に書けばいいのに、推理小説のように結果が最後にくる。トレードの本らしく、トレードの例を先に書けばいいのに、文学作品のように、あまり本題に関係のない(筆者の脳内シナプス的にはつながってるようだが)雰囲気を出すための情緒的、哲学的な文章が先に来る。うーん、読んで疲れる割に(今読んで)そう目新しいこともないかも。。。

あ、"リスクを許容する。ストップロスを置いても、リスクに対する心の準備は出来ていない"というところを読んで、最近でいえば、ホリエモンの「想定内です」の心境かなと思った(アレは言ってるだけか?)。どうでもいいが。

2005/6/18レビュー 転載