感想:時代を感じる良書? ★★★
推理小説で有名な山村美紗の株入門書。彼女はなかなかの相場師だったようです。20代のころ、2年でためた10万円(今の200万円くらい?)で、証券会社に飛び込み三菱地所を買ったのが最初。その後、短期売買で高い勝率を誇ったそうです。題名が「株の推理教室」ですし、これはかなり笑える本に違いないというつもりで読んだのですが、意外にもまともな内容の入門書でした。1987年7月出版とかなり昔の本で、今と違う状況にも「へぇー」という感じです。
本の中で、証券会社の「営業マン」を重視しているのと「短期売買」を進めているのが印象的でした。生の情報源としての営業マンを重視しますが、証券会社の都合(手数料稼ぎ、自己売買の買いすぎなど)で、よからぬ銘柄を勧めてくることもあることにも触れ、自分の頭で考えることが重要といっています。営業マンと仲良くなると、余った転換社債や公募株を回してもらえることがあるのも、おまけの得点。短期回転売買して手数料を多く落とすのも営業マンと仲良くなる一つの方法だとか。本の中で全般的に、情報の収集、分析と心理的な要因を重視してるのがいいかもと思いました。
ただ、この時代に短期売買を進めているのは驚きですが、逆によっぽど勝率が高くないと辛いかなぁと思われ。1999年10月の売買手数料の自由化以前。譲渡益も今よりお高め。100万円で買って105万円で売って、5万の利益の(たぶん)半分は手数料と税金という世界。
著者はかなりの使い手(相場師)かもという気もする反面、バブルの上昇相場で儲かっただけじゃん?とか、人脈使ったインサイダーで儲けてるちゃうんか?とか疑ってしまう僕は下世話です。
メモ
-ノルマ証券
-投資ジャーナル事件
-日本郵船は正月に上がる
2005/11/2レビュー