HOME
>
株本れびゅ
>
2004年
>
天才たちの誤算―ドキュメントLTCM破綻
天才たちの誤算?ドキュメントLTCM破綻
ロジャー ローウェンスタイン Roger Lowenstein 東江 一紀
感想:そんな事件もあったのか ★★★
伝説のヘッジファンド LTCM の成り立ちと栄光、破綻の様子が描かれたノンフィクション本です。単に事件をつづっただけでなく、人間描写が細かく面白いです。ソロス、バフェットはじめ、その世界の大物もちらちら登場するのも興味をそそります。
この本を読む前は、コンピュータのはじき出すシグナルを半自動的に取引してたのかと思っていたのですが、そうではなく、やっぱり人間が判断し議論してトレードしていたようです。勝ち続けることで培われた傲慢や衝動的な売買といった人間的な判断ミスやブレーキをかける人間がいなかったという管理体制なども問題として指摘されています。
また、ノーベル賞学者(2人)が、LTCMで斬新なシステムを開発したのかとも思っていたのですが、それも若干違うようで、LTCMの中心人物たちが以前いたソロモンでの手法が元となっていたようです。
本書の中で閉鎖的で仲間意識の強いトレーダー集団の様子が描かれていますが、そういえばこういう職種の人たちって、師弟関係の強い集団だとか昔何かのテレビでみたなぁ。そういうものなのね、となんか納得。
LTCMは過剰な資金を運用しきれなくなり、資金を強制的に変換していますが、LTCMに遠い投資家や銀行は、破綻の被害を受けず、逆にLTMCに近い投資家たちは、破綻の直撃をうけたというのもなかなか皮肉な話だなー。
メリウェザーはLTCM破綻の後、再構築したモデルで、再び JWMパートナーズというファンドを立ち上げたらしいが、それは、今、どうなっているのだろう?
ぐーぐると JWM Partners John Meriwether などでヒットしますが、会社のWebページみたいなのはないみたいですねー。一部スーパーリッチ向けのファンドだからか?
2004/12/25レビュー
転載